戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】
私があなたに弱音を吐いたりしなければ。
優しいあなたが、戦場に戻ることはなかったはずなのに。
「ち、違いますよ姫様!決して、姫様のせいじゃありません!」
博嗣はわたわたと、私の前で両手を振ってみせた。
「姫様に人を殺めさせたくなかったのは確かですけど、
それは拙者のわがままです。
あなた様には、いつまでも綺麗でいてほしいという……
拙者の、わがままです」
まっすぐに見つめられて、何も言い返せなくなってしまう。
代わりに、涙が出そうになった。
それをこらえる私の頬に、博嗣はそっと手を伸ばす。
「あの……触っても、良いでしょうか」
「……なんで、いちいち聞くの」
「……この手は、汚れているから……」
悲しそうな、博嗣の声。
私はそれを聞くのが嫌で、自分から彼の手をとった。