戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】
「姫様」
「汚れてなんかないわ」
「…………」
「そして、私は綺麗じゃない。
あなたが人を斬るのを見ても、怖いなんて思わなかった。
誰を犠牲にしても、生きて欲しいと思ってたもの」
「あなたは、綺麗です。本当に……」
「いいのよ、無理しなくたって」
私は彼の手を、そのひざにそっと返した。
「武士は人を斬るのが仕事。
あなたは自分を見失ったりしなかった。
きっと、これからも大丈夫。
あなたは立派な武士でいつづけられるわ」
「……拙者は……」
「今まで、ありがとう。
仮住まいが出来次第、私たちは出ていきます」
もう、弱みは見せないわ。
あなたの優しさを利用することは、私にはできない。