戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】
「あ、の。
拙者は、姫様と約束をしました。
その約束は、果たせないのですか?」
「そんなの、もう忘れたわ。
あの時はどうかしていたの。
ごめんなさいね、若い人を惑わせたりして」
声を震わせてはいけない。
涙を流してはいけない。
『拙者が姫様の願いをかなえます』
そんな約束は忘れなくては。
「私は、夢見姫として、これからも生きるわ」
「でも、あなた様はその重責から解放してほしいと、
拙者に言いました」
「いいの。もういいのよ。
ごめんなさい、忘れてください」
私は少し後に下がり、
三つ指をついて、頭を深く下げた。