戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】
「何を……」
「この前言ったでしょう。
夢見姫の力をなくすなんて、愚かだと笑われるわ。
隠そうとしても、すぐに知れ渡る。
あなたが一夜だけのつもりだろうと、
人はずっと、あなたのことを笑うのよ。
利用できる力を捨てた、愚かな武士だと」
「一夜だけなんて……
そんなことは思っておりませぬ。
拙者は姫様さえ良ければ、お子様共々、一生面倒を見るつもりでおります」
「良くないわ。
本当にバカね。
力を失った夢見姫なんて、何の価値もないのよ。
年増で、子連れで……」
言っているうちに、涙が溢れた。
自分の無力さが悲しかった。
博嗣のまっすぐな心が胸に刺さって、痛かった。
「あなたの出世の妨げになることはあっても、
助けになることはひとつだってないのよ!
こんな惨めなこと、言わせないでよ!
お願いだから、もうわかって……!」