戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】


こんな惨めな私は見せたくなかった。


だけど、これが本来の私だ。


せめて、とうつむいていると、



「わからぬ……!」



怒ったような博嗣の声が、すぐ傍から降ってきた。



「そのような言い分は通りません。

拙者のことが嫌いなら嫌いと、はっきり言ってくだされ。

そうでもせねば、あきらめがつきません」


「嫌いだなんて……」


「違うのですか?

違うのですね、姫様」



強引な腕が、私を引き寄せる。


しまった。


なんで嫌いと言えなかったんだろう。


どうして、博嗣の前では嘘がつけないのだろう。


ぐい、とあごを上げられ、その整った顔が嫌でも目に入る。





< 81 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop