戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】
こんな惨めな私は見せたくなかった。
だけど、これが本来の私だ。
せめて、とうつむいていると、
「わからぬ……!」
怒ったような博嗣の声が、すぐ傍から降ってきた。
「そのような言い分は通りません。
拙者のことが嫌いなら嫌いと、はっきり言ってくだされ。
そうでもせねば、あきらめがつきません」
「嫌いだなんて……」
「違うのですか?
違うのですね、姫様」
強引な腕が、私を引き寄せる。
しまった。
なんで嫌いと言えなかったんだろう。
どうして、博嗣の前では嘘がつけないのだろう。
ぐい、とあごを上げられ、その整った顔が嫌でも目に入る。