戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】
「あなた様さえ、いてくだされば」
「……博嗣……」
「もともと、人斬りで偉くなっても、
どうしようもないと思っておりますゆえ。
のんびり剣を教えられたらそれで良いのです。
……すみません、あなた様を大名の奥方にすることができなくて」
「そんなの、ちっともかまわないわ……!」
どうして、そんなすまなそうな顔を、あなたがするのよ。
おかしいじゃないの。
私は怒っているのに、膨れた顔を見て博嗣は笑った。
「ああ、拙者はやはり、
強気なあなた様が、とても好きです」
……バカは私だ。
自分が見た夢を無視するなんて、これまではなかった。
博嗣はこれからも、ただの剣術指南役。
本当なら、立派な大名になれるのに。
それでも私を、選んでくれるのね。