戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】
「おはよう。気分はどうですか」
先に起きていたらしい博嗣が、少し心配そうに私にたずねてきた。
「……すっかり、普通の人間だわ。
さっきからあなたに呪いをかけているけど、ちっとも効かないもの」
「……嫌だなあ、昨夜はあんなに素直だったのに」
「そういうこと言わないでっ!!」
なに一晩で余裕の夫顔になってるのよ!
面白くないわ。
私はまだまだ、『奥方』という立場に慣れそうにないのに。
くるりと背を向けると、博嗣は背後から私を抱きしめた。
「……最後に、不思議な夢を見たわ」
「へえ、どんな?」
「未来の夢見姫のよ。
『まりあ』っていう変わった名前で、
私に似ているの」
「それは、可愛い少女なんでしょうね」