戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】
愛しい人の鼓動を感じながら、まぶたを閉じる。
まだ、鮮やかに蘇る、最後の夢。
長い長い、戦いの夢だった。
「まりあの好きな人は、護衛の忍なのよ。
とっても美しい若者なの」
「うん」
「彼らは未来の世界で、私たちの話をしてるのよ。
『過去に、結婚した夢見姫がいた』って。
面白いでしょう?」
「本当ですか?
不思議ですね。
こうして今生きているのに、そこでは私たちは死んでいるんですね」
博嗣は、二人の時には『拙者』ではなく、『私』と言った。
堅苦しい武家言葉は、徐々に柔らかくなってきている。
そして結局、博嗣は『音羽博嗣』に改名した。
音羽家では『博嗣』で定着してしまっていたからだ。
「そう。
未来でも夢見姫は大変な思いをしてた。
でも、なんとか乗り越えて、最後にはその忍と結ばれるのよ」
「はあ、絵巻物みたいですね」