結婚、結婚してください!

「風ちゃん…」

「何?大地くん」


大樹はそっと夢崎さんを離す
そして、笑う


「瑠璃はね。絶対に相手が痛がることはしないんだよ。自分が物凄く痛がりだからね」

「……ぇ?」

「だからね?瑠璃が彫刻刀で風ちゃんを傷付けるなんて有り得ない」

「で、でも…本当に私っ」


夢崎さんがそこまで言って言葉を詰まらせた
大樹が信じられないほど冷たく笑ったから…


「俺…瑠璃を泣かせた人にまで優しく出来るほど、大人じゃないんだ」


そう言うと、大樹は夢崎さんから離れて私に近づいてきた

そして、私の手に握られた彫刻刀を抜き取って近くの棚に置き…

私をぎゅっと抱き締めた




< 140 / 156 >

この作品をシェア

pagetop