龍鬼と私。
聞くために、知るために会ったけど、やっぱり前に進むのに躊躇する。
嫌な過去まで思い出しそうで……。



日々母がDVを受けていたほんの少しの記憶が断片的に残っている。



ある程度大人になり母から聞いた事と重なり、また憎しみが起きたら…。





「おい、大丈夫か?」




俊の声に我に返った。




「あ、うん。」




慌てて返事をした。




「心配すんな、オマエには俺らがいるだろ。」




俊が私のことを悟っているのかのように言う。




そのおかげで少し安心した。




「李來……話してくれる?」




私がそう言うとニコっとして、李來が頷く。



男の人をいつまでも苦手にしていたら、皆にばっかり頼ってしまう。
少しずつでも前に……。




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