その温もりを。
君のささやきだけ。
夏休みは瞬く間に過ぎていった。
みんなとは数えきれないほど遊んだ。
今までで一番楽しい夏休みだった気がする。
そして今日は…9月1日。
登校日で軽く現実に引きもどされ、そして今日決定的に現実に引きもどされる。
「じゃあっ、行ってきます!お姉ちゃん、行こっ」
小学4年生の妹の麻琴と一緒に家を出る。
「宿題、全部持った?ポスター忘れてない?」
「うんっ、一生懸命描いたんだもん。忘れないよっ」
サラサラの髪をなびかせて笑う麻琴。
可愛いなぁ。
わたしは、昔から『冷たい』だの、『愛想がない』だの言われてるから
余計、愛され上手な性格の妹はとてつもなく可愛く思える。
「じゃあねっ、お姉ちゃん!」
「うん。気をつけていくんだよ。」
途中で麻琴と別れる。
「おーはよっ!!」
ボスッと頭にカバンが当たる。
「いったいなぁ!!だれ…」
「久しぶりー、琴名。」
…なんだ、北見か。