その温もりを。
「よろしく。木下の下の名前なんていうの?」
北見はにっこりと笑いかけてきた。
「琴名だけど」
「ことな?どーいう字?」
わたしはシャーペンを出して机に書いた。
「ふーん、いい名前だね。琴名」
何コイツ……。
しょっぱなから下の名で呼び捨て?
空の第一印象はよくなかった気がする。
「琴ー、次移動だよー。」
深帆の声が聞こえた。
「次 教科って何?」
北見が聞いてきた。
「理科で理科室。」
「琴ちゃん一緒に行ってあげたら?」
なに言ってんのよ、星佳…。
「あ、まじー?よろしくー。」
北見は教科書をもって席を立つとわたし達についてきた。