その温もりを。
「ねぇ北見君♪」

放課中、北見の席のまわりにいるのは数人の女子。

北見がカッコいいからだのなんだのって他のクラスから見に来るやつのいるほど。


…うるさい。

「アンタそんな嫌そうな顔すんのやめなさいよ」

深帆はハァッ…とため息をついた。

「残念だけど、嫌そうじゃなくて嫌なの。」

「琴ちゃんっハッキリ言いすぎだよ…」

星佳は焦った様子で言った。

でも深帆もウザそうな顔してるじゃない。


そんな中、目立つ一人の女子が北見に言った。


「そういえばぁ~、なんで北見君って転校してきたのぉ?」

うわっ、ウザい口調。

北見の席を見てみると質問してたのはブリっ子気質の門倉 愛。

ってゆーか、デリカシーなさすぎでしょ。

そんなん、事情ってモンあるでしょーが。

「…は?」

北見は今までヘラヘラしてた顔から一変、睨むように怒っている。

「なに聞いてんのよ、アイツ。」

深帆は聞こえないようにコッソリ言ってきた。

「うん…。北見君怒ってるよ…。」

天然の星佳でさえ気づくのに、あのバカ女は気付いてない。

「だってさ~、フツー9月くらいじゃんか?なのにー…


「うるさい。」
< 5 / 115 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop