その温もりを。


部屋の中は花柄の壁紙で可愛らしい家具が置かれてた。


北見のお母さんの好みなのかな。


リビングのテーブルで北見と座って

沙奈さんがお茶を淹れてくれるのを待ってると。


ふと、電話代の近くに置かれている写真が目についた。


今より、少し若い沙奈さんと

その隣で赤ちゃんを抱いて幸せそうに沙奈さんと微笑む男の人。


あの人は……



「あの人はね、空の父の夕陽よ。

空が生まれた直後、事故で亡くなってしまったのよ。」


沙奈さんがティーセットを持ちながら

キッチンから出てきた。


「…あっ……すみません。思い出させてしまいましたか?」



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