不細工なあたし
合コンの会場は駅前の居酒屋だという。
全国にチェーン店をいくつも持っているところで、あたしも名前くらいは知っていた。
あたしの家から駅前までは少し離れているので、早紀とふたりバスで向かう。
バスの中は、夕方なので帰宅途中のサラリーマンや高校生で溢れていた。
席が埋まっていたため吊革につかまってバスに揺られる。
「ねえ早紀、合コンってとりあえず座ってればいいんだよね?」
周りの人の迷惑にならない程度に声を落として、そう早紀に訊く。
「いーよ、ミコはそれで。話しかけろって言ったって、どうせ初めて会う男に話しかけないでしょ。興味無いとか言って」
「なんで分かるの?」
「それくらい想像つきますー。あ、でもさすがに話しかけられたらちゃんと返してね?人数合わせで仕方なくとはいえメンバーには変わりないんだから」
「……努力します」
あたしの答えに満足したのか早紀は「ん」と頷いた。
あたしにイケイケな人たちのノリについて行けるかは正直自信がないところだが、周りを不快にさせるのもよくないし、せめて雰囲気になじむくらいのレベルにはなれるように努力しよう。
そう小さな決意をして、あたしは窓の外の移り変わる景色に目を移した。