不細工なあたし
せっかくの人生初合コンだったわけだけど、残念ながらあまりよく覚えていない。
村瀬くんと向かい合った席で会話をしない訳にはいかず、世間話程度のやり取りはした。
相変わらず彼は穏やかな声で話す。
それはあの頃から変わらないなと思った。
だけど、やっぱり妙な居心地の悪さがあった。
席替えがあって村瀬くんが離れた席に座った時はほっとしたけど、無意識のうちに視線が彼を探してしまっていた。
隣になった男の話なんてほとんど聞いてなくて、適当に相槌を打ちながら、料理や飲み物を口に運んで、そしてその度に村瀬くんを視界の隅に捉える。
そんなことを繰り返しているうちに気付いたら時間が経っていたのだった。
「寒っ」
会計を済ませて外に出ると、来たときとは比べものにならない位寒かった。
慌ててマフラーを首に巻きつける。
「ミコ、みんなこのあとカラオケ行くって言ってるけど、行く?」
早紀の言葉に、あたしは首を横に振った。
「ううん。あたしはいいや」
「そっか…、わかった。私行くから一緒に帰れないけど、気を付けて帰ってね」
あたしがこくりと頷くと、早紀はカラオケに行くらしいメンバーのもとへ駆けて行った。