不細工なあたし
無いものねだりだっていうのは分かってる。
あたしは早紀みたいに整ってない。
可愛くなくても、せめて整っていて欲しかった。
ぱっちりの二重まぶたじゃなくても、せめて大きな瞳ならよかった。
かわいらしい唇じゃなくても、こんな薄い唇じゃなくてせめてもう少し厚みのある唇ならよかったのに。
あたしが仲良くなる友達は、昔からなぜか無駄に見目のいい子ばかりで。
いつも、比べられて。
卑屈にならないように、比べられる悲しい思いがばれないように、あたしもめいっぱい彼女たちに「かわいい」を繰り返した。
おかげで女の子を褒めることだけは上手くなったと思うけど。
だけど、それとともにあたしは自分に対する自信を失っていった。
「お願いだよぉー…。もう頼れるのミコしかいないんだって!ね、来てくれたらお礼に1週間学食おごるから!」
「……朝食も付ける?」
「むしろ私の家で食べて行って!!」
パンッ、と顔の前で手を合わせて、必死な顔をする早紀。
(うーん…、食費浮くのはかなり助かるし…)
アルバイトと奨学金で大学に通っているひとり暮らしの身としては、かなり魅力的な提案だった。
「……わかった。行く」
渋々頷くと、早紀はパァッ、と顔を輝かせた。
―――そんなこんなで食費につられ、人生初の合コンへの参加が決定したあたしなのだった。