不細工なあたし
とはいっても、合コンなんてどうしたらいいのかもどんな格好で行けばいいのかもわからなくて早紀にそう言うと、
「とりあえず化粧して」
とあっさり返された。
……すいませんね、ほぼスッピンで。
だって、めんどくさいんだもん。
そりゃね、あたしだって化粧で変われる自分を夢見たこともあったよ?
…でも、雑誌とにらめっこしながら安い化粧品で真似してみたって、そんなの素人の腕じゃ無理なわけで。
ブラウンのアイシャドウも、重たいマスカラも丁寧にひいたアイラインも。
あたしを変えてなんかくれなかった。
可愛いはずのピンクのリップグロスでさえあたしには不釣り合いな気がして。
だから、そんなあたしを変身させてくれないモノたちは放置して、あたしの中で化粧といえば、軽くフェイスパウダーをはたいて睫毛をビューラーで上げるくらいだった。
そんなあたしだから、髪だっていままでパーマをあてたことも色を変えたこともなく、黒くまっすぐなまま。
くせっ毛じゃなくて、矯正するまでもなくストレートヘアだったことだけが救いかもしれない。
「嫌。あたし化粧したって顔同じだよ。それならしない方が楽」
「ミコーぉ」
呆れたような、早紀の顔。
「いいでしょ。行くって言ってるんだから、それで」
「良くないよ!行くからにはミコにもいい出会いがあればいいなって思うもん」
「化粧してなきゃだめなわけ?…するのはいいのよ。落とすのが大変なのよ、特にマスカラ」
「や、うん、気持ちは分かる。アイツはほんとに睫毛を痛めてるよね…」
「わかってるじゃない」
「でも、化粧して、自分でも気付かないくらいのちょっとの違いでも可愛くなったら、それがきっかけで見てもらえるかもしれないじゃん!」