不細工なあたし

あたしは手前にあった細身のジーンズを履いた。

そして近くのハンガーにかかっていた、襟元の少し開いたブラウスに袖を通し、その上に丈が長めのカーディガンを羽織る。

いつもつけている、小さなストーンがついただけのネックレスをつけた。


洗面所に向かい、顔を洗って軽く保湿。

その間に髪に櫛を通した。

フェイスパウダーをはたいて、ビューラーで睫毛を上げた。

無色のリップクリームで乾燥した唇を救出したら、準備完了。


ここまで、時間にして約10分。


早紀が迎えに来るまで時間があるので、あたしは飲みかけのココアの入ったマグカップを持って、先程まで早紀が座っていたところに腰を下ろした。




ふと、テレビの横にある卓上カレンダーに目が行った。

気付けばもう1月も終わろうとしている。

テストを受けて、長い春休みが来て、そしたら、進級。


あたしは、気付けば大きなため息をついていた。

もし、誰かがあたしの誕生日プレゼントに本当にほしいものをくれたら、あたしも毎日を楽しめるんだろうか。

めいっぱいオシャレを楽しんで、季節ごとに違う自分を着飾って。




可愛くなりたい、そんな願いを、誰かが叶えてくれたなら―――。




(……ハハ、ないない)

だって、可愛くなる努力をしてないもんね。

それなのに願うだけはするなんて、馬鹿みたいだ。


変われない自分にもうがっかりしたくなくて、あたしはずっと現状維持。

   
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