【中編】『Love Step番外編』星に願いを
ビクッと龍也先輩の身体が雷に打たれたように跳ねた。

『さくらさんは心から龍也を愛していた』

瞳を閉じてじっとその言葉を噛締めるように、ピクリとも動かない彼をただじっと支え続ける。

お母さんが自分を愛していた事実。

そのことに彼はどの位救われたんだろう。

触れ合う部分を伝って感じるいつもより早い鼓動が、普段は冷静な彼の不安、喜び、戸惑い、その全てを凝縮した動揺を伝えてくる。

身体は緊張のためか震えていて、あたしを抱き寄せる手は無意識に力が入り痛いほどに指が食い込んでいだ。

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