【中編】『Love Step番外編』星に願いを
ドラマでも小説でもない真実の哀しい恋物語。

あたしの頬にはいつの間にか幾筋も涙が伝っていた。

龍也先輩は一言も聞き漏らすまいとするように、表情を硬くして真実を受け止めようとしていた。

「オヤジは悩んだ挙句翔に彼女の事を告げた。
翔はすぐに彼女を取り戻しに行ったよ。
だけど彼女は翔を覚えていなかったばかりか結婚式を明日に控えていたんだ。
翔は苦しんだよ。無理矢理連れ帰る事も考えたらしい。
でも記憶の無い彼女を連れ帰って、いきなり龍也の母親だと言われても彼女は生活なんて出来なかっただろう。
彼女の記憶は…20才のまま止まっていたんだから。」

「……そんな…。二度と自分を思い出さないかもしれない母さんの事を父さんは死ぬ間際まで愛してたのか?」

「彼女がいつか記憶を取り戻してくれる事を心の奥底で祈っていたんだろうな。」

龍也先輩はとても苦しそうな顔をして唇を噛締めた。


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