【中編】『Love Step番外編』星に願いを
お願い。神さま。

この人をあたしから取り上げないで下さい。

これ以上哀しい恋物語を増やさないで下さい。

お願い…あたしの全てを捧げるから…

彼の心がやっと得た穏やかな時を奪わないで下さい。



長い長いキスの後、龍也先輩はあたしの髪を剥きながら愛しいものを見つめる瞳であたしを捕らえた。

「聖良、ずっと傍にいてくれてありがとう。
聖良がいてくれたから俺は真実を受け入れる事が出来た。
母さんと父さんが本当に愛し合っていた事も、俺が愛されていた事も、嘘じゃなかった。」

瞳を伏せる事も逸らす事も抗う事も許さない、真っ直ぐな強い意志を秘めた瞳があたしを見つめる。

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