【中編】『Love Step番外編』星に願いを
「俺の父親がバイク好きでさ、俺が16になった時すぐに免許を取りに行くように勧められたんだ。
俺とツーリングに行きたかったんだとさ。
その夢が叶う前に病気になってあっという間に逝っちまったけどな。」

サラリと何でもない風にそう言ってみせる先輩に胸が痛くなって、厚い胸板に顔を埋めるとギュッと抱きしめた。

フワリと彼の香りに包まれて切なさや愛しさが抑えられないくらいに胸の中に広がっていく。

この人を孤独にしたくない。ずっと傍にいて支えていたい。

そう思うのはあたしの奢りだろうか。

あたしのそんな気持ちが伝わったのか、彼は小さな声で『ありがとう』と言うとチュッと額にキスをして、鮮やかに笑った。

「少し遠いけど連れて行ってやりたいところがあるんだ。
聖良…明日はおまえの誕生日だろう?
だからさ…平日だけどプチ旅行と行かないか?」

「連れて行きたいところ?」


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