短志緒

休みが開けると、彼女がまたやって来た。

「3巻、ありがと」

本を返しに来たらしい。

「ああ、どういたしまして」

4巻読んでく?という言葉をぐっと堪える。

自分からこの部屋に入りたいと言ってくれたら、

歓迎するつもりだった。

すると、彼女に変化が現れた。

「飽きたから、もう読まない」

そしてまたそそくさと帰っていった。

またね、という言葉はなかった。

またね、がないということは、

もう来ないということ?

胸が痛む。

ズキズキ痛む。

俺はこんなにも君と過ごしたいと思っているのに、

君はどうしてそんなに素っ気ないんだ。




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