短志緒
俺は勢いよく部屋を飛び出した。
胸が痛めば痛むほど、もっと冷たくしてやりたいと思った。
気持ちに応えてほしかった。
馬鹿じゃねぇの、俺。
これっぽっちの痛み、彼女が感じていた痛みと比べればそよ風みたいなもんだろう。
俺は彼女の痛みの分だけ、
冷たくさせてやらなきゃいけなかったんだ。
彼女の傷が癒えるまで、
とことん甘やかしてやらなきゃいけなかったんだ。
新たな傷なんて、
絶対に付けちゃいけなかったのに。
ほんと、馬鹿じゃねぇの?
俺。