短志緒
「真咲!」
泣いてる彼女を、必死で抱き寄せた。
間近で泣き顔を見ると、俺まで泣きたくなった。
「ごめん! ごめん、ほんとにごめん」
「由貴……?」
力いっぱい抱き締めると、彼女は電話を耳から離して応えようとする。
「ごめんな……」
電話の相手が聞いているかもしれないが、
今はそんなのどうでもいい。
「うわーん……」
しっかり俺にしがみついて大泣きしはじめた彼女の気持ちくらい、
ちゃんとわかっていたのに。
わかりやすいくらい、言葉の裏に気持ちが込められていたのに。
「謝るくらいなら冷たくしなきゃよかったじゃない」
私、すごく寂しかった。
「あんたなんて大っ嫌い」
由貴のこと、大好きだよ。
「はなしてよぉ」
もっとぎゅっと抱き締めて。