短志緒

しかもレイヤは甘えるのがとても上手だ。

食事が終わると洗い物をしていてもすり寄ってきて、

構ってくれとまとわりついてくる。

昔はぶっきらぼうで人の言うことなんて聞きもしなかったのに、

曲がった根性をここまで素直にしたのは一体誰なんだろう。

あたしのもとを去ってからはきっと苦労したに違いない。

それでもひねくれた性格が直ったくらいだから、

いい出会いに恵まれたのだろう。

あたしがこいつを拾ったのは少しの気まぐれと同情だった。

捨てられて、ボロボロに傷つけられて、

可哀想だなと思ったからだった。

立派に育って、本当に良かったと思う。

今はふらっと顔を見せるけれど、

いつか再びあたしのもとを去るだろう。

その日までは目一杯可愛がってあげようと思っている。

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