短志緒



そんな風に思っていたけれど、

レイヤは一年経っても二年経ってもあたしに顔を見せ続けた。

相も変わらず週に二日はうちにやって来るし、

週に三日は職場にまで顔を出す。

うちに来れば飽きもせずあたしに甘え、

職場に来れば爽やかに笑う。

新しい飼い主はなかなか見つからないのだろうか。

あたしはすっかりレイヤが顔を見せる生活に馴染み、

しばらく来ないときは寂しささえ感じるようになっていた。

このまま新しい飼い主なんてみつからなければいい。

ずっとずっと、私にだけなついていればいい。

こんな風に思うようになっていた。

< 26 / 161 >

この作品をシェア

pagetop