短志緒
そんな風に思っていたけれど、
レイヤは一年経っても二年経ってもあたしに顔を見せ続けた。
相も変わらず週に二日はうちにやって来るし、
週に三日は職場にまで顔を出す。
うちに来れば飽きもせずあたしに甘え、
職場に来れば爽やかに笑う。
新しい飼い主はなかなか見つからないのだろうか。
あたしはすっかりレイヤが顔を見せる生活に馴染み、
しばらく来ないときは寂しささえ感じるようになっていた。
このまま新しい飼い主なんてみつからなければいい。
ずっとずっと、私にだけなついていればいい。
こんな風に思うようになっていた。