短志緒
だけど、三年経った頃。
ある時を境に、レイヤはあまり顔を見せなくなった。
連絡は来るけれどその頻度も減って、
たまにうちに来たときは甘えるでもなくすぐに眠ってしまうようになった。
起きると忙しそうに出掛けていき、
それからしばらく姿を消す。
職場にも顔を見せなくなった。
ああ、この時が来てしまったか。
あたしはレイヤの来ない寂しい部屋で、
彼の好物である納豆巻きをかじりながら
心の準備を進める。
近いうちに、レイヤは全く来なくなるだろう。
きっと新しい飼い主が見つかりそうなのだ。
あたしはあたしらしく、
レイヤの門出を祝うべく、
心を落ち着け、整える。