短志緒
ある日の休日、レイヤがうちにやって来た。
レイヤは土日祝日休ではない仕事に就いているから、それはとても珍しいことだ。
そんな事情でめったに二人で出掛けたりしなかったのに、
「行きたいとこがあるからついてきて」
なんて言い出した。
レイヤの表情が固い。
ああ、なるほど。
あたしは悟って、歯を食い縛る。
これはきっと、最後のデートだ。
レイヤはきっと今日、あたしに別れを切り出す。
最後だと思ったらこの日を大切な思い出にしたくなって、
レイヤがテレビを見ながら待っている間、
あたしなりに精一杯おしゃれをした。
少しでも可愛く見えるように。
少しでも、思い止まってくれるように。