短志緒
レイヤの運転する車に乗るのは久しぶりだった。
あたしと会っていない間にどんな女を乗せていたのだろう。
どこかに髪の毛の一本でも落ちていないかと探してみたが、
車好きのレイヤは、いつもに増して車内を綺麗に掃除したようだった。
「ねえ、どこ行くの?」
「秘密」
日差しが強いな。
すごくいい天気。
外はきっととても暑いけれど、
車内はとても快適だ。
そういえばレイヤを預かっていた頃に、
一度だけあたしの運転でドライブをしたことがあったな。
あの頃レイヤはまだ高校生だった。
金髪で口もガラも素行も悪いところだらけの、とんでもないクソガキだった。
そしてレイヤにとって私は、
口煩いクソババァだった。