短志緒
レイヤはきょとんとして足を止めた。
手を繋いでいるあたしも必然的にストップする。
「サキはすげー可愛いよ?」
「どこがよ」
「そういうとこ」
「全然わからん」
「いいよ、わかんなくて」
レイヤは大きな目をにっこり細めて、
人のいる道だというのに軽くキスをした。
だけど一度したら全然足りなく感じてきて、
あたしたちは手を繋いだまま笑い合い、
少し早足で歩き出す。
「なぁ、サキ」
「なに?」
「子供、先に仕込んでいい?」
「ダメ」
「えー、いいじゃん」
こんなあたしたちが築いた川上家に四人目の子供が生まれるのは、
これからまた数年後の話。
fin.