短志緒
彼女はイベントやキャンペーンを自ら企画し、
実施したいと言っていた。
同期会でも同じことを言っていたし、
それがなかなか叶わないと漏らしていた。
チャンスを求めてうちの部署に来たのは明らかだった。
俺はそんな彼女をサポートしたいと言ったのがウケて入社したから、
出来るだけ彼女の力になろうと試みる。
だけど新しい仕事を覚えるのに必死な彼女に、俺がしてやれることはほとんどなかった。
そして彼女の横には常にある男がいた。
同じく同期の青木だ。
青木は彼女が配属されるなりとてつもない速さで彼女に取り入った。
あいつの人懐っこい性格が羨ましい。
当たり前のように彼女の隣を陣取る。
一体どうやったらそんな風に振る舞えるのか問い詰めたいところだが、
口下手な俺はそれすらできずにいた。