短志緒
「彼氏できた」
彼女が嬉しそうに報告してきたのはもう何年前だっただろうか。
俺はその言葉にどん底まで突き落とされた。
聞けばその彼氏とやらは一流企業のエリートで、イケメンなんだとか。
でもそんなことはどうだって良かった。
社内でも群を抜いて美しく、まさに職場の華としての地位を確立している君。
そんな君が猫をかぶるのをやめて毒をぶちまけ、
服まで脱いで本性をさらけ出せるのは。
わがまま放題、自己中心的で自信過剰。
そんな君を受け入れられるのは。
この世にたった一人、俺だけなのだと確信していたのに。