恋の戦國物語
じっと見つめたままで目線を外さない。
いや、外してはいけない気がした。
「せぇらぁ服だと?なんだそれは。貴様、俺を馬鹿にしているのか」
いっぱいいっぱいに弓の弦を引っ張っているのか、キリキリと耳鳴りのような音がする。
…っておい、何でそうなんのよ!
セーラー服も知らないなんて、容姿関係なく、もう流行りに遅れたおじさんみたいなものじゃない!
あたしも、よく理解できないため、無償にいらいらしてくる。
「あなたこそ、女の子に矢をむけて情けないと思わないの?ていうか、今時矢を持ったり着物来たり…ここどこよ!?」
言いたいことを一気に喋って息絶え絶えになる。
…まぁ、上手く状況を読み込めず小十郎に当たっている、という風に捉えてもおかしくないけど。
すっ、と警戒しながら小十郎はどんどんと答えていく。
「ここは米沢城のそばにある森、つまり奥州だ。貴様は東京からきた、と言ったな。それは何処の国だ。」
え…、お、奥州!?
まず、日本の首都である東京を知らないなんて…やっぱり何かがおかしい。