恋の戦國物語
◇ 小十郎side ◇
どこからきたのかさっぱりわからない愛という者をすんなりと私室に迎えた政宗様。
始めから疑うことなく話している政宗様は一体何を考えているのだろうか。
とりあえず、茶を用意してもらうために台所へと急ぐと、俺の姉である喜多が昼餉の用意の手伝いをしていた。
「小十郎、どうしたのですか?政宗様から何か申されたの?」
俺より数cm背の低い喜多が手拭いで手拭きながら近づいてくる。
喜多は厳しくて、怒ると政宗様まで怯むくらい怖いが、とても心配性で気遣ってくれて…すごい優しくてしっかりした人。
「あ…と、茶を用意しろとの事」
「1人分でいいの?」
いつもは自分は飲んでいないため、政宗様だけの分だが、今回は愛の分もいる。
「や、2人分」
訂正をいれると、腕を組んで入口の壁にもたれ掛かった。
「もしや、先ほど女中たちが言っていた、おかしな着物をきたお客様の分なのですか?」
喜多は、盆に饅頭をのせた皿と茶を俺に手渡した。
「あぁ、そうだ」
そういって、受け取ろうとすると喜多がむっとした顔をする。
「その女子は今、政宗様の私室にいるのですね?」
「あ?あぁ…」