恋の戦國物語
―壱―「始」

修学旅行


◇ 愛side ◇



――時は修学旅行4日前に坂のぼる。


「――ということで、修学旅行の行き先は、急遽東北地方に変わりました」

担任の松田先生の声が教室に響き渡る。


「「「っえ゛ええええーっ!?」」」


皆は思いもよらなかった先生の言葉に叫び声をあげる。


無理もない。


実は先日、修学旅行の行き先であった北海道で泊まるはずだった宿屋で、土砂崩れが起こってしまい、何故か急遽東北地方へと変更になったのである。


中には涙を浮かべる女子もいれば暴れたりブーイングを出し続ける男子もいた。


修学旅行は、意義のある生活ができるなら、どこでもいいと思っていたあたしは黙ってそれを見ていた。


あたしの名前は 相楽 愛(サガラ アイ)。

身長は約160cmくらいで、昔から手入れをしてきた胸あたりまである黒い髪に、皆に羨ましがられるスタイルと顔。


…自分ではどこがいいのか全くわからないんだけど…。


そして3年生が引退した今、弓道部でキャプテンをつとめている。

昔から歴史が大好きで、あの有名な真田幸村は尊敬しているほど。


皆のテンションの低さに思わず眉間にしわが寄る。

皆、大丈夫かな…。


どうしようもないんだと言いたそうな先生の気持ちが分かるような気もしないことはしないけど…。

結局、皆はしぶしぶ承諾し、先生は安堵する。

そして、あたしたち2年は、4日後に東北地方へと行くことになった。

チャイムが鳴ると先生は教室から出ていき、皆はそれぞれ立ち歩く。


< 3 / 93 >

この作品をシェア

pagetop