恋の戦國物語
――…
ズキズキとする頭の痛さに、うっすらと目を開く。
「ん…」
だんだんと視界がはっきりしてきて、ハッと我に返り、飛び起きようとした。
…が。
誰かに肩がぐっと押さえられて起き上がれない。
すると、上から聞き慣れた声がした。
「今は…起き上がるでない」
冷静な声にすっと力が抜けると、強制的に寝かせられた。
―シーン…とする室内。
「……ねぇ」
ポツリと呟いた。
「うん?」
隣に座っていた男は、眼帯をしていない左目を細くする。
「…あたし…何してた…?」
眼帯をした男…政宗は、起き上がった際に落ちた手拭いを拾い、額にのせてくれた。
「ありがと…」
「いや…。そなた、廊下で泣きながら気を失っていた故…」
あたしは、そっか、と一言。
確かに、顔は乾ききった涙のあとの感覚がある。
「何があったのだ」
政宗は心配そうに、儚く小さな声で話しかけてきた。
「何もないよ…ははっ、思い出し泣きかな」
何事もないように天井を見ながら笑いかけた。
分かってる。
今の笑顔は、自分でも無理したような笑顔になってるって。
辛いときに笑うと、全然笑えてないって本当だったんだなあ…。