恋の戦國物語
あははと苦笑いをしていた束の間、政宗は眉を下げてはっきりと呟く。
「何故嘘を付く」
――ギクッ…
バレていることに、身を震わせた。
「何があった?」
政宗の優しい声にまた鼻の奥がツンとした。
心配してくれてることはわかる。
…でも、こんなに優しくしてくれているのに、帰れなくて泣いていた、なんて言えるわけがない。
「…おい、愛」
「やめて!…あたしは来たくもないこの世界に勝手にとばされて、命まで失いかけたのよ!?」
…何いってんの、あたし。
「お願いだから…もう、気安く聞かないでよ!」
…政宗にこんなこといって…何になるの…?
「…愛…」
「今は話しかけないでっ!」
あたしは、泣きながら叫ぶと、いてもたってもいられなくなって褥(シトネ)を頭まで被り、政宗に背を向けた。
いろいろな感情が混ざりあって、気持ちが悪くなってくる。
あたしは褥の中で静かに泣いた。
声は抑えられても、涙はこらえられない。
こんなの、政宗に八つ当たりしてるだけじゃん。
…政宗は絶対に怒ってる。
顔は見えないけど…こんなに言われて怒らない男なんて余程の事でないと、いないと思う。
元の世界に帰るどころか、あたしは…ここで死んじゃうんだ…。