恋の戦國物語
間もなく小十郎のいる部屋の前についた。
「小十郎」
「はっ」
俺の声に反応した小十郎は、すっと襖を開けてくれた。
「…倒れていたのでござりますか」
小十郎は、さっと寝床をつくると俺を見ながら呟いた。
「いや、眠っておるだけだ」
愛をゆっくりと床に下ろすと、ぎこちなく愛をチラチラ見る。
…にしても、顔が赤いのだが…。
小十郎もいるし、少々躊躇ったが、少しだけ、と、愛の頬に手を当ててみると…やはりすごく熱かった。
「小十郎。看病の仕方が分かるか」
「看病?…分かりませぬ。喜多を呼びましょうか」
「あぁ、すまぬ、頼んだ」
小十郎は気を利かして喜多を呼びに行ってくれた。
――…
「…もう寒くなります故、体を温めておやりましょう。では、これで」
小十郎に連れられた喜多は、愛の額に濡れた手拭いを置いて出ていこうとした。
「喜多、かたじけない」
「助かりました」
政宗は、出ていく喜多を見送ってから、「小十郎も助かった。外してくれ」と出ていくよう促した。
…さぁ、起きるまで待とう。