恋の戦國物語
愛はずっと褥に潜り続け、でてこようとする素振りすらみれない。
少し一人にしてやろうと襖に手をかけた。
が。
…話しかけるなと言われたが、ここで話しかけなければいつ話すのだ。
ここで謝らなかったら、…きっと完全に嫌われてしまうであろう。
全ての発端は俺に、と責任を重んじ、意を決して愛に再び近づく。
…どうしようかと迷っている自分に対して、勝手に体が動いた。
――フワッ…
自分でも驚いた。
まさか…褥越しに抱き締めるとは。
「そなたが帰りたいのはよく分かっている。申し訳なかった」
今しかない、と見えない愛に対して、心を込めて言った。
「だが、ここにいる限りそなたの力になりたい…故、一人で悩まないでくれ」
すこしすると、愛のすすり泣きが聞こえてきた。
「泣きたいなら、泣け。気が済むまで泣けばいい。今だけ…胸を貸してやる」
これできてくれなかったら、俺はどれだけ恥ずかしい男なのであろうか。
内心、後悔をしたのだが。
愛は泣き泣き、褥から出て俺に抱きついた。
あ…愛。
抱きつき方が少し大胆すぎるのだが。
「…ふ…ぅ…っう…」
何かがプツンと切れたかのように、愛が声に出して泣き始めた。
今まで女が泣こうと気にしていなかった俺なのに…、と何か違和感を覚える。
胸が熱くなってくるのは、愛の体温のせいなのか。
それとも俺の“心”のせいなのか…?