恋の戦國物語
――…
さっきまで泣いていた愛はいつの間にか寝息をたてていた。
小十郎も気付いているだろうが、敢えて気を利かして入ってこないのであろう。
というか…俺は愛に抱き締められているという状況で、どうすればいいのだろうか。
下手に動いて起こしてしまうのも悪いし、このままでいたとして、万が一誰かが入ってきたらどうするのか。
日は完全に落ち、暗い中、蝋燭に火すら付けられやしない。
すやすやと気持ち良さそうに寝ている愛の頭を、ただただ撫でることしかできない俺。
…それにしても、肌がすごく白い。
白く長い脚を皆に見せつけるように出している。
…愛はもう誰かの正室か側室になったのであろうか?
いや、こんなに綺麗なのだからすでに正室になっているに違いない。
俺にも知らない事ばかりだ。
――未来の事について、もっと知りたい――…。
長い黒い髪をゆっくりと撫でながら、そうモヤモヤしながらぼんやりと愛の寝顔を見つめていると。
「政宗様」
…きた。
この声は、小十郎だな。
「どうした、小十郎」
動こうにも動けない状態で、首だけ襖に向ける。
あえてまだ入れとは言わない。
「…夕餉の用意ができましたが…女子は」