恋の戦國物語

――…

修学旅行1日前には、あんなに反対していた皆は廊下で楽しみだね、と話していた。

それを目にしながら教室に向かう。

そして教室に入るなり、百合が話しかけてきた。

「ね、愛!自由行動のとき、一緒に米沢城いかない!?」

目をキラキラさせながら百合はあたしの手を掴んだ。

米沢城って…たしか伊達政宗の?

「うん、いいけど」

正直、真田幸村のいた甲斐のあたりを見てまわりたいけど、行き先が全く違うために少し残念そうにする。


「やったあ!じゃあ、明日よろしくね!」

百合ははしゃぐ子供の様に腕をぶんぶんさせると、ふわっとした栗色の髪を揺らしながら自分の席に戻っていった。


…いつ見ても可愛いなあ、と思いながらあたしも席に座る。


――…


そして、待ちに待った修学旅行。
あたしが早起きをして、いつも通り教室に入る。

登校時間までまだ20分ある…、早く来すぎたかな。


とりあえずあたしはその20分間、前日に新しく配られた厚めのしおりを見ながら、これからを想像していた。

松田先生が時間通りに教室に入ってくると、今日の一通りの流れを話して、皆はわいわい騒ぎながら昇降口から出て、順番にバスに乗る。

あたしの隣には、もちろん百合。


「あーっ、楽しみ!」

百合は座席に座り、背伸びをする。


「うん、楽しもうね!」

あたしたちは1日目の自由行動で米沢城にいくことになってる。

目的地につくまでの間、あたしは百合と一緒にこれからのことを話しては、笑い合っていた。

あぁ、何だかこれから楽しくなりそう!





目的地にはあっという間について、早速先生からの注意事項をうける。

ふと、ちらっと回りを見てみると、早く解散したいのだろう、うずうずしている生徒達が目にはいる。

あたしも、早く百合のところにいきたいよ…。


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