恋の戦國物語
――今を大切にしよう。
そう誓い、全て保護し終えると丁度、襖越しに声がする。
「愛」
「はい」
この声は、…小十郎かな。
「…開けるぞ」
「…どうぞ」
許可を得たと同時にすらっと襖をあけた小十郎。
あたしはカメラをカバンに戻すと、襖を閉めてこっちに歩いてくる小十郎に向き直った。
小十郎の手には…着物…?
小十郎はあたしの前に座するとこほんと咳払いした。
「政宗様からのお召し物だ」
ずいっと差し出してきた、ピンク色をメインにポツポツと白い花や水玉模様の入った着物や、他。
無駄な折り目がないことから、これは新品であろう。
「えっ、これをあたしに?」
小十郎はあたしを見つめながら、早く受けとるよう促してくる。
「そなたがおかしな着物をきているからだろう。早く受け取れ」
あ…あたしがセーラー服だからなのね…。
じゃあ、ありがたく、と両手を添えて小十郎の手から受け取る。
「早く着よ」
小十郎はそっぽを向きながら、さらっと言ってきた。
今!?
今ですか!?
…あなたが居たら脱げないんですが!!
そう怒鳴りたい気持ちを抑えて「あの…出ていって…ください」とか細い声で言った。
「あぁ、失敬。…着付けられたら俺の名を呼べ」
そう言ってそそくさと部屋を去ろうとする小十郎。
本当にここにいるつもりだったのか…?
小十郎が部屋から出て襖を閉めると、あたしはゆっくりと脱ぎ始めた。