恋の戦國物語

「…何よ」

「そなたはうつけ(馬鹿)者か?それとも知らないのか?」

「は?」

何故か、逆に馬鹿にされました。
て言うか、知らないのか?って何がよ!?

「一応言うが帯は2本しか使わぬ。それを知らなかったのかと聞いておるのだ。それか、そなたの時代では3本も使うのか?」

え、現在とここと、本数って変わったの?

「あたしの時代では、3本だったけど」

馬鹿にされたのが気に食わなかったため、つんと顔を背けたまま返す。

「それは誠か。ほう…成程」

あれ…言い返してこないんだ…あはは。

こう納得されてはもうかなわない。

何よりさっきからあたし達は立ちっぱなしで、変な空気が漂っている。

そんな中、今にもずるりと落ちてきそうな帯を手でさりげなくおさえていると、やっと小十郎が口を開いた。

「もう少しきつくするか?」

「え、いいの?」

「あぁ」

小十郎は意地悪をすることなく、むしろ気遣ってくれている。

やっぱ、優しい。
…や、どっちかっていうとツンデレか、うん。

巻き直すために再び袖をあげ、緊張モード突入。
まさかの第2回目というやつです…。

帯をほどいて、巻き直してくれる、何とも親切な人。

あたしは先ほどと変わらず顔隠し。

太い帯を、きゅっとギリギリまで絞めながら巻いていく。

慣れた手つきだなぁと思いながらこっそり見ていると、2本目の細い帯を巻こうとしていた途中で、小十郎の手がとまった。

「ちゃんと食べているのか」

いきなり何言い出すんだ、この人は。

「食べてるわよ。何で?」

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