恋の戦國物語
◇ 小十郎side ◇
少しして、泣き止んだと思うと、俺の胸の中に身を預けてきた愛。
何してるんだ、…愛も…俺も…。
…正直、着替えの時から俺の心臓はうるさくなっている。
ただ、まぁ…信じてやってもいいかと思っているが、まだ半信半疑相手に好意をもつなどもっての他。
しかも政宗様までをも虜にしてしまう美貌を持っているため、そのうち、政宗様と――
…あぁ。
…考えるのはもう止めよう。
俺に関係などない。
俺は、政宗様に仕える兵(ツワモノ)なのだから。
政宗様のために、戦って死ぬことになるのなら、それでいい――。
何故か、自分に対していらっときて、甘えてくる愛を思いきり引き離そうとした。
この野郎――…あ?
まさか…、と、愛の肩に手を置き、ぐっと自分から愛を引き離す。
「あ…愛」
そこには、甘えたりしているわけでもなく、無防備に寝息を立てている愛の姿。
「…」
うなだれた。
勘違いしていた自分にため息が出る。
もういい、夜が明けたときに、もう一度ちゃんとこやつの話を聞いてやろう。
何も考えることができない俺は、再度、褥に愛を寝かせると、静かに部屋を出た。
――スーッ、カタンッ…
「…はー…」
俺はだいたい、どうして政宗様が愛に「一人にしろ」と言ったのか分かった。
このまま愛が政宗様の側に居れば、政宗様はきっと愛を要とし、離さないだろう。
政宗様にも、愛にも、早よう時に話をしておかなければならない。
…とくに、あの女子には。