恋の戦國物語
行く宛もなく、何故か政宗の部屋に戻ることにしたあたし。
歩けば歩く度、思い出される政宗との出来事。
…もうあたしは変態確定だぁあっ!
期待はしていないつもりでも、何でキスをしたのかは気になって仕方がなくて、やっぱり期待してしまう。
どうかしてるわ、あたし。
やっぱり自分の部屋に戻ろうと、まだ覚えきれていない曖昧な記憶を辿りながら目的地に向かう。
――…
「よかった、あたしの記憶は確かだわ」
自分の部屋の前について、安堵の息を漏らしながら襖に手をかける。
「昼餉になるまでゆっくりしておこっと」
――スーッ
「――……あ…っえ?」
開けた途端、そこにいた人に目を見開く。
「お邪魔してます、姫さん」
「え…っと…どちら様でしょうか…」
窓(?)越しに腰をかけていたのは、忍者の様な服(←どこか少し派手)をきた、にっこり微笑む男性。
…一瞬部屋を間違えたかと思ったが、あたしの荷物が有る限りあたしの部屋だろう。
「………」
明るめな茶色の短髪に、スタイルのいい細身の長身。
忍者と違って口は覆ってなくて、首に明るめな色のスカーフが巻かれている。
ふざけているのか、このスカーフの色的に。
まぁ、微妙にチャラチャラした爽やか系男子…というところだろうか。
「さっきから何失礼な事考えているのさ」
「きゃぁっ!?」
しゅっ、と黒い煙となって消えたかと思うと、目の前に現れた忍者男。
「良い叫び声してんじゃん、キミ」
まさか…この人、人の心を読めるの…!?
「ごもっとも」
またもや人の心を読んだ彼は、何か企んでいるような笑みを浮かべる。
そんな彼に、苦笑しながら後退るあたし。
「ねぇ、まぁ話しようよ」
余裕な笑顔をあたしにむけてくる彼があたしの手をとった。
断ったら殺される…?
…いや、話終わっても殺される…?
ちょっ、あ、あたし…こんなとこで死ぬなんてごめんだよぉおっ…!