スイートポテト・フィロソフィア

***



「ここのカフェ、ケーキが美味しいって有名なんだって」



何回目に会った時だったか。


西園寺さんと、カフェでケーキを食べることになった。


ライトでしっかりと照らされたショーケースの中には、色とりどりのケーキが並んでいて、なんて女の子らしい空間なんだろうかと思った記憶がある。



「ザッハトルテか。これにしようかな」



そう言いながら艶やかなチョコレート色が光るケーキを選んだ西園寺さんを見て、この人は選ぶ食べ物までイメージ通りなのか、と感じた記憶もある。


そしてその隣で、自分が何を選ぶべきなのかと悩んだ記憶もある。



順番に見ていったショーケースの1番下。

1番端。


季節物のくせにひっそりと置かれた薄い茶色のケーキに惹かれながら、あたしは頭をフルに回転させていた。



果たして、ここでさつまいもを選択していいものか。



ケースには、カラフルなフルーツを使ったものがたくさんあるのに、ここでさつまいもを選択するのは女子大生として正しいのか、間違っているのか。


さつまいもが、ケーキじゃなくて“タルト”だったことも気になった。


スポンジなら上手く食べられる気がしたが、タルトの硬い生地をお皿に散らさず体内に収める自信はない。



それは、女子大生としてどうなのか。
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