スイートポテト・フィロソフィア
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「ここのカフェ、ケーキが美味しいって有名なんだって」
何回目に会った時だったか。
西園寺さんと、カフェでケーキを食べることになった。
ライトでしっかりと照らされたショーケースの中には、色とりどりのケーキが並んでいて、なんて女の子らしい空間なんだろうかと思った記憶がある。
「ザッハトルテか。これにしようかな」
そう言いながら艶やかなチョコレート色が光るケーキを選んだ西園寺さんを見て、この人は選ぶ食べ物までイメージ通りなのか、と感じた記憶もある。
そしてその隣で、自分が何を選ぶべきなのかと悩んだ記憶もある。
順番に見ていったショーケースの1番下。
1番端。
季節物のくせにひっそりと置かれた薄い茶色のケーキに惹かれながら、あたしは頭をフルに回転させていた。
果たして、ここでさつまいもを選択していいものか。
ケースには、カラフルなフルーツを使ったものがたくさんあるのに、ここでさつまいもを選択するのは女子大生として正しいのか、間違っているのか。
さつまいもが、ケーキじゃなくて“タルト”だったことも気になった。
スポンジなら上手く食べられる気がしたが、タルトの硬い生地をお皿に散らさず体内に収める自信はない。
それは、女子大生としてどうなのか。