スイートポテト・フィロソフィア

「どういう意味？」


「そのままの意味。“感謝”だけか、って聞いてる」



“千優”なんて可愛らしい字を使った名前を付けてもらいながらも“クロ”なんて呼ばれてるあたしは、こういう時の受け答えが上手くない。



面白い話をしたり、人の感情を上手く読み取ってコメントすることも苦手だから、会話のテンポを変に気遣って、思ったことをストレートに言うしかない状況に陥る。



それを上手くとって、アレンジしてくれたのが景で、あたしはそれから“クロ”になった。



だから、そんなあたしに、今の景の考えを上手く読み取る力も、気の利いた返事をする力もあるわけがない。


景の考えなんてわからない。


あたしは、景と違ってエスパーじゃない。



この会話が、普段の何気ない会話と同じような気もするし、そうじゃない気もする。



「感謝だけじゃなかったら、何があるの？」



手を止めて視線だけを景に送ると、景はフォークをお皿に置いた。



「西園寺さんを紹介されてどうだった？性格も趣味も全然違う人間を紹介されて、どう思った？」



それを、景が聞くのか。


あたしは、思わず眉間にしわを寄せた。