スイートポテト・フィロソフィア
だけど、こんなにも趣味の違うあたし達が、“友達”の壁を越えても平気なんだろうか。
そう、不安になる自分もいる。
たかが食べ物だなんて言われたらおしまいだけど、やっぱり、食べ物は大事だ。
そう思うあたしは、こだわりすぎなんだろうか。
「知ってるだろ。俺が気持ち悪いくらいに、好きなものに執着することくらい。
クロはそれを、気持ち悪いと思うか?毒舌で突っ込んで終わりだろ」
「まぁ、そうだと思う」
カチッとしたタイプのタルト生地は、想像していた通り、お皿の中でボロボロと崩れて散っていた。
「でも、じゃあ何で、西園寺さんを紹介したの?」
これは正に、あたしが西園寺さんに見せられなかったタルトの最終形態だ。
目の前に座る景には、こんなところも隠そうとは思ったことはない。
景の言う“自然体”は、きっとこういう細かいところなんじゃないだろうか。
視線を少し逸らしていた景が、まっすぐにあたしを見た。